第九条(宗教教育)について

第九条(宗教教育) 宗教にかんする寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。

 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

 

 『解説』は憲法第二〇条および第八九条と関連させて、信教の自由、政教分離の原則の重要性を確認しています。また、わが国における宗教と教育との関係史を総括して本条を解説しています。

 

 『解説』は、この条項が、宗教一般を否定するものではなく、なんらかの宗教的信仰が将来の国民の道徳的向上のためにも必要であるから、「この宗教的信仰を培うには、教育上または教育政策上いかにすればよいかは極めて重大かつ困難な問題であり、この問題解決の基準を示そうとするのが本条である」とも解説しています。

 

 この「重大かつ困難な問題」について、余談ですがあえて筆者の考え方を述べてみたいと思います。例えば、仏教にせよキリスト教にせよマホメット教にせよその他の宗教にせよ、それらは森羅万象に内在する自然性や人間性の洞察の上に存在していると考えられます。したがって、人々はなぜ自然性や人間性を追求してきたのか、人々はどうすれば自然性や人間性の理解に到達できるのか、どうすれば日常生活のなかでそれらを感得することができるのか、について理解を深めることは重要な教育的課題と言えます。また、自然性や人間性が普遍的であるが故に、それゆえにこそ、現実には神格性、偶像性、祈祷性、教祖性、絶対性、独占性、至福性、忠誠性、福音性、異端排除性、暴力性、閉鎖性などの属性が、さまざまな集団や個人において、いわば必然的に生み出されてきました。したがって、さまざまな宗教的属性はなぜ生まれ強固になるのか、それらの弊害をどうすれば克服できるのか、についても多面的に理解することは教育上の課題となるものです。これらの教育課題についての理解を促す教育上の条件整備は独自に重要であると思います。しかし、それらは決して宗教教育においてということではなく、普通教育本来の基本的な内容として社会科教育等の課題になると思います。

 

 「〇六年基本法」は第1項に「宗教に関する一般的な教養」という文言を挿入していますが、その運用にあたっては、憲法の基本理念、普通教育の理念等に即して合理的に行われなければなりません。